バレエ・エデュケーション・シリーズ in Bunkyo

白鳥の湖

Swan Lake

日時:2018年9月29日(土)15:00開演 / 9月30日(日)15:00開演 

 会場:文京シビックホール 大ホール
<全2回公演>上演時間 約2時間50分(休憩2回含む)

演出・振付:三谷恭三(マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、

テリー・ウェストモーランド新制作版に基づく)

音楽:P.I.チャイコフスキー

美術:ボブ・リングウッド

 

古典の魅力を引き出す、ドラマティックな演出 

B.リングウッドの衣装と舞台美術が物語の世界を彩る

ドラマティックなストーリーと美しい情景が人々を魅了する不朽の名作「白鳥の湖」。時代を越えて踊り継がれるプティパ/イワノフ振付による原典版の荘厳で詩的な雰囲気を忠実に継承した牧阿佐美バレヱ団の舞台は、クラシック・バレエの魅力を余すことなく伝えます。さらに、ハリウッド映画『A.I.』『バットマン』の衣装デザイナー、ボブ・リングウッドが手掛けた豪華な装置と衣装が、美しい物語世界をより一層格調高く彩ります。 

新しいヒロインの誕生、 輝きを放つプリンシパルの競演

主演は牧阿佐美バレヱ団を代表するトップダンサーのダブルキャストで競演を繰り広げます。9/29は華麗な容姿と高い技術力を併せ持ち、数多くのヒロインを演じる青山季可と、ダイナミックな踊りと卓越した演技力で人気を誇る菊地研。華やかな二人の優れたパートナーシップでオデットと王子の心の交流を丁寧に描き出します。9/30は注目の『白鳥の湖』初主演、クリーンなテクニックで軽やかな踊りを披露する清瀧千晴と、昨年『ドン・キホーテ』で溌剌としたキトリを踊り主役デビューした阿部裕恵が登場します。 さらに、迫力ある白鳥たちの群舞は、高い水準を誇る牧阿佐美バレヱ団ならではの美しさ。個性豊かなソリスト達が随所で珠玉の踊りを披露します。上演のたび、深い感動を呼び、高い評価を獲得している牧阿佐美バレヱ団の「白鳥の湖」。伝統に磨かれた古典作品の魅力を存分にお楽しみください。



友人たちと狩に出掛けたジーグフリード王子は、森の中で白鳥の群れに出会う。白鳥を追って行くと、湖のほとりで一羽が美しい娘に姿を変えるのを見て王子は驚く。娘はオデットと名乗り、魔術師フォン・ロットバルトに捕らえられた娘たちが白鳥の姿に変えられ、夜の間だけ人間に戻れるのだと告げる。まだ誰をも愛したことのない若者が永遠の愛を誓った時、魔術は解かれる。二人は互いに惹かれ合うが、夜明けが近づき、オデットは白鳥の姿に戻っていった。 


翌日、城では宴が開かれ、王子の妃の候補として選ばれた姫たちが、ハンガリー、スペイン、イタリア、フランス、ロシア、ポーランドの各国から集い、舞踏会が始まった。しかし王子の想いはオデットから離れず、花嫁を選ぶことを拒否してその場にいる人々を驚かせる。そこへ突然、フォン・ロットバルト男爵と、その魔術によってオデットに似た姿に変身したロットバルトの娘、オディールが現れた。すっかりだまされた王子は、オディールをオデットと信じ込み、彼女こそは自分の選んだ愛する人であると誓ってしまう。そして、ロットバルトの罠にかかったことを知った王子は絶望の中、オデットを求めて宮殿を飛び出してゆく…。



(文・川島京子/早稲田大学講師)

チャイコフスキーの荘厳な音色と美しい白鳥達が織りなす純白の世界、オデット姫と王子の哀しい愛の物語。バレエの代名詞と謳われ、見る者すべてを魅了し続けてきた不朽の名作『白鳥の湖』。 

『白鳥の湖』は、1895年にプティパとイワノフによってサンクトペテルブルグのマリインスキー劇場で大成功を収めて以来、世界中で愛され続けてきました。その間数々の振付家が改訂に挑み、現在では「バレエ団の数だけ『白鳥の湖』がある」と言われるほど沢山の版が存在します。牧阿佐美バレヱ団の『白鳥の湖』は、プティパ/イワノフの原振付を忠実に受け継ぐテリー・ウエストモーランド版。オリジナルの劇的要素そのままに感動の物語を今に伝えます。

~第一幕~ 城の庭

チャイコフスキーの名曲とともに華やかな王子の祝宴

舞台は深い緑に包まれたドイツの城。成人を迎えたジーグフリード王子を祝う賑やかなパーティーが繰り広げられています。美術を手掛けるのは、数々のオペラやハリウッド映画でも活躍するボブ・リングウッド。舞台を埋め尽くす鮮やかな色彩、本物のシルクを贅沢に使ったこだわりの衣裳にも是非ご注目下さい。


そこに王子の母である王妃が現れ、お祝いに弓矢をプレゼントします。王妃は、明日の舞踏会で花嫁を選ぶよう伝えます。だんだんと日が暮れ友人たちが去ってゆく中、孤独と不安に駆られてゆく王子。母からもらった弓矢を手に、一人白鳥狩りに出かけます。ウエストモーランド版では、踊りだけでなく一つひとつの仕草や演技までもがチャイコフスキーの音楽と見事に融合しながら物語を運んでゆきます。



~第二幕~ 湖のほとり

王子とオデットの出会い、そして美しい白鳥達が奏でるバレエ・ブラン

悪魔が支配する湖のほとり。白鳥狩りに来た王子の目の前に現れたのは、悪魔の呪いによって白鳥の姿に変えられた美しいオデット姫。二人の出会いのシーンは、作品一番の見どころです。そっと近づく王子にオデットは悲しい身の上を打ち明けます。真実の愛を得られれば人間の姿に戻れると知った王子は、オデットに永遠の愛を誓います。こうした会話を伝えるマイム(身振り)の多くが、現在では省略されてしまっている中、牧阿佐美バレヱ団の『白鳥の湖』は、オリジナルのままに一言一言を丁寧にマイムで語ってゆきます。


第二幕は、バレエ・ブラン=「白いバレエ」という名の通り、大勢の白鳥達が舞台を埋め尽くします。牧バレヱ団が誇る一糸乱れぬ群舞(コール・ド・バレエ)が限りなく美しい幻想の世界を描きます。



~第三幕~ 城の広間 

盛大に開かれる王子の花嫁選びの舞踏会。見どころ満載の第三幕!

華やかな舞台、目を見張るような踊りの連続、劇的なストーリー展開、第三幕はすべてが見どころ。ハンガリー、スペイン、ナポリ、ポーランドの民族舞踊と各国からの美しい花嫁候補たちの踊りも、舞踏会を盛り上げます。磨き抜かれたキャラクターダンスは勿論のこと、それぞれの国の特徴をあしらった衣裳デザインにも注目です。


そして、第三幕といえば王子と黒鳥オディールのパ・ド・ドゥ。悪魔の陰謀で、オデット姫にそっくりの黒鳥オディールが登場。妖しく誘惑するオディールに王子はまんまと騙され、ついに結婚を誓ってしまいます。二人の踊るパ・ド・ドゥはまさに超絶技巧の極致。ダイナミックな回転技が次々と披露されます。第三幕の妖艶なオディール姫は第二幕の清純なオデット姫との一人二役。どのように演じ分けるか、主役の腕の見せどころです。



~第四幕~ 湖のほとり

オデット姫と王子の運命は如何に!牧阿佐美バレヱ団の第四幕は感動の結末

王子は許しを乞うため再びオデット姫の元を訪れます。しかし、誓いは破られ、もはや永遠に結ばれることのない二人。二人に残された望みはただ一つ、あの世で結ばれること・・・二人は湖に身を投げます。


『白鳥の湖』はソビエト時代に、この結末を、社会主義の勝利を暗示するように、悪を倒し善が勝利するというハッピーエンドに書き換えられてしまいました。現在もロシアをはじめ多くのバレエ団でハッピーエンドの『白鳥の湖』が上演されています。しかし、『白鳥の湖』は、台本の流れも、またチャイコフスキーの音楽も、悲劇として作られたものです。牧阿佐美バレヱ団の『白鳥の湖』は、オリジナル通りの悲劇。是非、『白鳥の湖』本来の深い感動を味わっていただければと思います。



  9月29日(土) 9月30日(日)
オデット&
オディール
青山 季可 阿部 裕恵
ジーグフリード
王子
菊地 研 清瀧 千晴

ほか、牧阿佐美バレヱ団


指 揮:アンドレイ・アニハーノフ

演 奏:東京オーケストラMIRAI


主 催:文京シビックホール(公益財団法人文京アカデミー)